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「畜生、おぼえていろ。」
練吉は永い間黙つていた。それから、いかにもいやいやな調子で、
「――へえ、まだお帰りぢやないのかね」
「それが、その、来ないわけがあるのさ」
「さうですか、さうですか。それは、いや、ごていねいなことで」
彼が冠をとると、円味のある顎肉には紐の痕が紅く残つていた。
「本当も本当でないもありやしませんよ。財産譲渡無効、その返還を請求したのだよ」
その時、突然練吉は、房一がさう云ひかけたまゝ当惑した表情になつたのを見た。
「あいつももう仕かたがないのですよ。『青ペン』通いばかりしているのですから。」
次に記すのは、ほんとうの怪談らしい話である。
「うん、あの程度だと別に影響はないんだらう」
「いや、どうも。恐縮です」
「まあ、のみなさい」